第28回特定非営利活動法人日本脳腫瘍学会学術集会
会長 西川亮
埼玉医科大学国際医療センター 脳神経外科教授,
脳・脊髄腫瘍科
 
  この度は第28回日本脳腫瘍学会学術集会の会長を仰せつかり,平成22年11月28日〜30日,軽井沢プリンスホテルにて開催の運びとなりました.
本会の歴史は,1980年その前身である日光脳腫瘍カンファレンスが開催されたことに始まり,平成22年(2010年)の学術集会は30周年という記念すべき集会であります.また軽井沢プリンスホテルでの開催は1989年以来の2回目となります.本会はこの間一貫してわが国の脳腫瘍,特に悪性脳腫瘍の研究と治療をリードする学術集会として,重要な役割を果たしてまいりました.また伝統的に,一つのホテルに全員が泊まり込み,ワインを飲みながら夜を徹して脳腫瘍について語り明かすという特異なスタイルを続けてまいりました.これは,研究者の連携・親睦を深める意義がありますが,同時に若手にとっては本学会で発表することは,先輩研究者と膝を交えて語り合い,脳腫瘍の研究の世界へデビューすることを意味します.依然として予後不良な悪性脳腫瘍の治療成績の改善へ向けてのモチベーションを高める意義も果たしてまいりました.
悪性脳腫瘍の研究と治療の世界は,近年めざましい進歩の時を迎えております.研究面では分子生物学の導入は大きな転換点でしたが,現在注目されるべきは網羅的な解析手法の確立と幹細胞概念の導入であります.治療面では,神経科学に基づいた手術の開発と,科学的な根拠に基づいた臨床研究の導入,人類史上初めて膠芽腫への有効性が示された薬剤テモゾロミドの導入であり,そして分子生物学上の発見に基づいた分子標的薬の導入であります.平成22年の学術集会においては,上記のようなトピックに合致する招待演者に特別講演,教育セミナー,ランチョンセミナー等を行っていただく予定としております.
本学術集会はわが国において脳腫瘍,特に悪性脳腫瘍の研究と治療に携わる脳神経外科医,小児科医,放射線科医,基礎科学者,病理学者といったメンバーが一同に会する集会ですが,看護師,ソーシャルワーカー等の方々の御参加もございます.等しく悪性脳腫瘍と戦っている異業種の方と親睦を深める機会でもございます.是非多数の皆様の御参加をお願い申し上げます.